外傷性記憶は繰り返し語っているうちに普通の記憶になります。
自分の問題は、自分の中に閉じ込めておくことで、紙が水を含んだように湿気がたまって水浸しになり、持てなくなってしまいます。
これを蒸発させて乾かして、自分で持ち上げられるようにすることが、解決への道です。
そのためには秘密保持が保証されたミーティングの場で繰り返し語ります。
外傷体験は語ること自体に意味があり、人に言うことによって、それが違う意味を持つようになります。
言葉にすることが難しくても、雰囲気とか気配を、安全な場で細かく言葉にして説明していくことが自分に力をつけます。
自分の外傷体験を誠実に語る人は、あらたなプライドを獲得し、最終的に自分にとっての意味を見つける作業に入ります。
例えば「お父さんは病気だったんだ」「でもそのために一生を支配されるのはいやだ」「私はけっこうがんばってやってきたんだ」「ずいぶん工夫してきたもんだな」などです。
そして最終的には自分の世界を再解釈して、自己変容のきっかけとします。
外傷体験は「大変な目にあったんだ」ととらえることもできるし、「私にとって大事な転機だった」として、いいことのきっかけにすることもできます。
そして、私達は何歳になっても成長できる、そう考えるようになること自体が成長です。